グレコとラファエロ
先週の金曜、上野でやっているエル・グレコ展とラファエロ展を両方一度に見てきた。
両方一度に見られるなんて、日本はすごい。
あれだけの作品を集めるのにかかった労力とお金と時間。
展覧会にはそういった「数値」は一切出てこないけれど、日本の経済はまだまだ「強い」んじゃないかと思うし、美術館の学芸員さんもすごく優秀なんだと思う。
両方見た感想は、グレコ展の方がよかった。
作品数が多く、大作も来ていた。
お腹いっぱいグレコを見た、という気になる。
ラファエロは作品数が少ないのがちょっと残念だった。
グレコをまとめて見たのは今回初めて。
いや、もう、原画のすばらしいことすごいこと。
「うわあ」と思いながら見ていたら、あることに気づいた。
「足、細っ」
グレコの描く足はスラ〜ッとしていて、足の人差し指が異常に長い。
グレコに描かれている人たちは、3Eなんて幅の靴は選ばないだろう。
漫画の「ジョジョ」にも似ている。
古い言葉で言えば「バタ臭い」。むちゃくちゃ濃い。ソース顔。
目鼻くっきりはっきり。どこにも東洋的なものがない。
対してラファエロ。
この人が描く人物は、首が太く腕が短くて、デッサンちょっとおかしいんじゃないかと思うものもあるけど、丸い。どの絵も丸い。穏やか。東洋的なものも感じる。
偏屈そうなグレコに対して、ラファエロはその絵だけ見れば「いい人」に思えてくる。
人の美しいところを美しいように描く。
そこになんの疑問も挟まない。
女性はふくよかで清らかで優しそう。よい娘さんであり、よいママだ。
二つ同時に見たからこそ二つの印象が強まって、滅多にない幸せな時間でした。