真っ黒な感情
「年賀状で子どもの写真が嫌いだ」という意見は、ある一定の肯定を得ているようだ。
子どもの写真ではなくて本人の写真を見せろ、というまっとうな意見もある。
確かに。
私は友人の子ども写真の年賀状を見て感情を揺さぶられることなんかないと思っていた。
「うん、みんな元気でやっているな。うんうん」
年賀状の報告は報告。自分は自分。そう思っていた。
しかし、今年になって友人から
「子どもは○歳と×歳。就職して家を出て、今は夫婦二人。私は何々に勤めています」
なんて文面を見ると、「どうして私はこういう家庭を築けなかったんだろう」と思ってしまった。
黒い感情が吹き出した。
なんてことだ。
嫌だなあ、自分。
「人と比べるなんてばかげている」と正論で自分を収めようとする。
でも、真っ黒な感情は頭をもたげて、外の様子をうかがっている。
きれいに消すのは難しい。
私は聴覚障害を持っていて、日常生活の中でいろいろ制限を受ける。
仕事はしているが、自活できるほどの稼ぎはない。
家庭もうまくいってない。
それでもなんとかやってきて、私も年賀状に明るく「仕事しています」など書いていたが、今年はネガティブな気持ちにしかならない。
なぜだろう?
黒い感情はふわふわと空中を漂う。
時間が経てば、きっとどこかに飛んでいくはずだ。
黒い感情に気づいた方がうかつに人に黒い感情を披露しなくなる、のではないか。
鈍感にならないですんでいる、かもしれない。
そう思っておこう。